廃棄物処理施設の新築・増築・機械の入替え等を検討する際、まずは出てくるのが、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」、いわゆる廃掃法です。
ここでは、廃掃法の基本的部分だけを簡単に書きたいと思います。
まずは、基本的な許可として、下記の2つの許可があります。
①施設の許可(廃掃法15条)
②業の許可(廃掃法14条)
②の「業」の許可については、自社処理を行う場合には必要ありません(現実的には少ないケースですが)、あくまで、他者の排出した廃棄物の運搬や処理を、事「業」として行う場合に必要であり、したがって産廃処理をされている事業者様には必需の許可となります。
そして、「誰が」、この許可を発行するのかと言えば、①も②も「都道府県知事が」ということになります。
①の「施設」の設置許可ですが、廃掃法施行令7条に、その処理方法、品目、処理能力によって、許可を要する「施設の基準」が定められています。
↓廃掃法施行令7条に定められる施設
号 | 施設の種類 | 能力・規模 |
1 | 汚泥の脱水施設 | 10m3/日を超えるもの |
2 | 汚泥の乾燥施設 | 10m3/日を超えるもの |
2 | 汚泥の天日乾燥施設 | 100m3/日を超えるもの |
3 | 汚泥の焼却施設 | 5m3/日を超えるもの 又は200kg/時 以上のもの 又は火格子面積が 2m2 以上のもの |
4 | 廃油の油水分離施設 | 10m3/日を超えるもの |
5 | 廃油の焼却施設 | 1m3/日を超えるもの 又は200kg/時 以上のもの 又は火格子面積が 2m2 以上のもの |
6 | 廃酸又は廃アルカリの 中和施設 | 50m3/日を超えるもの |
7 | 廃プラスチック類の 破砕施設 | 5t/日を超えるもの |
8 | 廃プラスチック類の 焼却施設 | 100kg/日を超えるもの 又は火格子面積が 2m2 以上のもの |
8の2 | 木くず又はがれき類の 破砕施設 | 5t/日を超えるもの |
9 | 有害物質を含む汚泥の コンクリート固型化施設 | すべて |
10 | 水銀又はその化合物を 含む汚泥のばい焼施設 | すべて |
10の2 | 廃水銀等の硫化施設 | すべて |
11 | 汚泥、廃酸又は廃アルカリ に含まれるシアン化合物 の分解施設 | すべて |
11の2 | 廃石綿等又は 石綿含有産業廃棄物の 溶融施設 | すべて |
12 | 廃PCB等、PCB汚染物 又はPCB処理物の焼却施設 | すべて |
12の2 | 廃PCB等又は PCB処理物の分解施設 | すべて |
13 | PCB汚染物又は PCB処理物の洗浄施設 又は分離施設 | すべて |
13の2 | 産業廃棄物の焼却施設 (汚泥、廃油、 廃プラスチック類 及び廃PCB等、PCB汚染物 又はPCB処理物の 焼却施設を除く。) | 200kg/時以上のもの 又は火格子面積が 2m2 以上のもの |
14 | 産業廃棄物の最終処分場 | すべて |
上の表で、例えば「廃プラスチック類の破砕施設」であれば、「5t/日」を超えなければ、施設許可は不要となりますが、しかし5t/日以下に抑えて破砕処理を行うというのは、現実の事業採算で考えれば難しいです。
また、以前には、5t/日以下の破砕処理でやっていたが、取扱いトン数が増えてきた、や、破砕機械の入替えに伴い処理能力を増やしたいので、この際、15条施設許可を取りたい、という事業主様もおられると思います。
そういった事業の拡張や、処理機械の更新などに伴い、許認可を取得したいという事業主様もかなりおられます。
弊社はそういった既存施設の拡張等のケースにも、コンサル・設計・許認可手続きという一連の業務としてご相談を承っております。
これは、少し余談になりますが、廃掃法15条の施設許可も、廃掃法14条の業の許可も、譲渡という手続きはありません。
前述しましたが、あくまで「都道府県知事」が、「申請を行った事業主に対して」許可を出しているのですから、その事業所を丸々譲渡された新法人さんは、自ら新しく許可を取得する必要があります。
以前に、ホテルの設計・許認可を多数やりましたが、ホテルの場合には、「旅館業許可」というものが必須となります。(宿泊定員に応じて、客室面積や窓の面積などにいろんな条件があります)
ホテル事業の売買というのは、産廃施設の売買よりも、かなり頻繁に市場で行われているのですが、この「旅館業許可」についても、同様、新事業主は新たに許可を取得する必要があります。
ホテルの外観も内装も変わらないにも拘わらず、です。
つまり、許可書(厳密には許可番号)というのは、それを申請した事業主に対して、交付されているのであって、○○ホテルという建物そのものに、交付されている訳ではないからです。
廃掃法も旅館業法も、レストランや飲食店などに営業許可を与える、食品衛生法も、、 根本はみな同じ考え方だと言えます。
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